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きみがすき

第19章 *ジュウハチ*



いつの間にか、あんなに激しかった雨は弱まり、パタパタと窓にあたる音が心地よくさえ聴こえた。


「…ずっ」

そんな車内に響く俺の鼻を啜る音


変わらず抱き締めてくれている相葉ちゃん


首にかかる息



ねぇ


相葉ちゃんが、俺をすきだって。


ねぇ


夢、じゃないよね。


ねぇ翔くん


ねぇニノ


ねぇ松潤


人って嬉しいと


上手く息ができなくなるんだね。


でも…嫌じゃない



「…あ…」


相「え?」


「っはっくしゅん!!」


相「わっ!」

あ…

まさかの間近でのくしゃみに、びっくりして体を離す相葉ちゃん


相「だ、大丈夫?」


「だ、大丈夫…」

すごい恥ずかしい…てか、このタイミングで…

相「…くふふ。」

ほら、笑われた。

涙だらけの頬っぺたを、親指で優しく拭われ

相「雨で濡れたからかな。風邪引くと大変。

…もう、すぐそこが俺んちなんだけど…温かいものでも、どうですか?」

あ…そうだったの。

真っ直ぐな瞳。外の街灯に照されてキラキラと揺れる。
その瞳を見つめながら、今度こそ本心で頷く。

相「はぁ…良かった。」
俺のすきな顔で笑って、運転席へと体が離れていく。

「あ…、待って。」
その体を引き留めたのは俺。

相「ん?」


「…俺と付き合って?…くださぃ…」

今しかないと勢いで言ってみたものの、小さくなる語尾…。

暗がりでもわかる大きくなった瞳。でも、すぐに細められ
相葉ちゃんの顔が…ゆっくり近づいてくる。

思わず目を瞑ると、コツン。とおでこに衝撃。

そっと瞼を開けば、鼻と鼻が触れあう距離。


相「よろしくお願いします。」

狡いなってほどの優しいトーン。


相「これからさ、お互いのことたくさん知っていこうね。
俺、頑固な大ちゃんも、1日何してるかわからない大ちゃんも、いろんな大ちゃんを知りたい。」


「…うん。俺も相葉ちゃんのこと、もっといっぱい知りたい。」


ふふ。と、楽しみだね。とお互いに笑い合う。


くすぐったいな。



相「じゃぁ…まずは、

朝ごはんは、パンがいいか、ご飯がいいか、教えて?」
にっこりと笑う相葉ちゃん。


…あさごはん?

え?

あさごはん?

それって…

「えっ?!」


気が付いたら、雨はあがってて

そんな車内に響く、俺の声。

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