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きみがすき

第19章 *ジュウハチ*



「そう、俺って頑固なんだって。」


相「うん?」


「だ…だからね…」


相「うん。」

ちゃんと話を聞いてるよって、相づちを入れてくれる。
こんな時に何だけど、そんなさりげない優しさも、すきだなって思った。


俺の気持ちだよ。聞いて…

「たとえ…今ここで、相葉ちゃんに…振られたとしても…

俺、諦めないから。」

諦められない。


相「大ちゃ…」


「もう…前に1度、振られてるし、しつこい奴だなって思うだろうけど…
俺のすきって気持ちは、どうしても変わりそうになくて…」

増す一方で…


相「…うん。」


「俺、当たり前だけど、どう頑張っても男で、女の子にはなれないし、料理だってそんなに出来ないし、休みの日は気がついたら1日終わってたことだってあるし、全然女の子みたくないけど…

相葉ちゃんをすきな気持ちは、誰にも負けない。」


相「…」


「そして、お墨付きの頑固だから…

何を言われても、絶対諦めないからね。」





…言った…

こんな予防線を張るような言い方

…狡いよね…

…しつこい?

…呆れた?

…引いた?


でも言わないと…気持ちを伝えないとって…


でも…

やっぱり間違った…?


この空気を自分で作っておきながら、耐えられなくて視線を外す。


相「…絶対」


「え?」
思いの外早く返ってきた反応に視線を戻す。


相「絶対、諦めない?」

こんな時に限って、車の通りは無くて、暗くて表情は見えない。

「…うん。絶対。」


と、すっと握っていた指が離され、カチャ。という音と共に金具がコン。と壁にぶつかる音が耳に聴こえた。


シートベルト?


空気がふわりと動いて


え?


って、思ったときには


目の前に、相葉ちゃんの胸があって


さっき、すきだって言った香りに包まれるように


でも、強く、相葉ちゃんに


抱き締められていた。





……え



相「…だからさ…なんで、振られる前提なんだって。」


…だって


「…だって…もう…振られてるから…、それに」




相「すきだよ。」


言葉を遮るように、そう耳元で聞こえた声。





相「大ちゃんが、すきだよ。」


今日は…


相「俺は、大野智さんが…すきです。」


…泣くもんかって思ってたのに…


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