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きみがすき

第20章 *きみがすき*

*大野*




相「砂糖は入れるー?」


「いらない。」


相「ミルクはー?」


「いんない。」


相「…もー、まだ怒ってるの?」

怒ってはない…ただ…

相「大ちゃんが、勘違いしたんじゃん。」

だ・か・ら!すごい恥ずかしいのっ!


『朝ごはんは、パンがいいか、ご飯がいいか、教えて?』


誰だってこんな質問されたら、明日の朝ごはんの話だと思うじゃん!

泊まりを誘われてるって思うじゃん!!


その言葉に、焦って動揺して…

「俺!まだ心の準備がっ!」

なんて言っちゃって。

目の前にはこれでもかって、きょっとーん。とした相葉ちゃんの顔。

ただの興味本意の質問だったの!

信じられる?!あの流れでこんな質問する?!

ってか俺、悪くなくない?!

やっぱり…納得いかない!


そう思って、一言申してやろうと睨みを利かせて顔をあげた。


相「はい。紅茶。」


「っ!」

てっきり、キッチンに居ると思った人物が、しかも思いの外近くの目の前に居て

フリーズ…

相「はい。あったかいよ?」

相葉ちゃんは、そんな俺の様子を、わかっているのかいないのか、カップを受け取らない俺に再度優しく声をかけてくれる。

「あ…りがとう。」
受け取ったカップは、ほっとするような温かさ。


相「ふふ。どういたしまして。」

そう言って、ポン。と頭に置かれた手。

そして当たり前のように、俺のすぐ隣に腰を下ろした。


…くぅ…


悔しいけど すき…


「♪~♪♪~~♪」

そして、聞こえてくる鼻歌。


ご機嫌だね。


もうなんか、あったかい紅茶が要らないくらい、ぽかぽかだよ。


…にしても、


「なんか…、殺風景になったね。」


相「うん。殆ど棄ててきたから。」

初めて来る、新しい相葉ちゃんの家。

てか、何もない。前の家をそんなにしっかり見た訳じゃないけど。

ソファもテーブルも何もない。

カーテンとか、食器類とか最低限必要な物はあるみたいだけど…

相「まだちゃんと買いに行けてなくて。招待しておいてこんな状況でごめんね。」


「ううん。それは良いんだけど…」


聞いていいのかな…


遠慮がちに隣を見ると、
相葉ちゃんも俺を見てて、その顔が優しく笑ってて

「なんで、引っ越ししたか聞いていい?」

そう、すんなり聞くことができた。

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