きみがすき
第3章 *ニ*
大野さんは席に着くと、水槽のガラスを指でつつき魚と遊んでいる。
櫻「ねぇ智くん。」
大「ん?」と手を止めて櫻井さんを見る。
櫻「何があった?」
と優しいけど、しっかりとした声が聞こえた。
そんな直球?!と驚くと共に、俺の隣で大野さんの体がピクッと震えるのがわかった。
大「…え?何?何にもないけど。」と少し間があったあと、ゆったりとした口調で大野さんは答えた。
櫻「智くんさ、昔から嘘下手なんだから。それか俺にも、言えないこと?」と大野さんから目をそらさない。
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何分経っただろう、誰もなにも話さない時間が続く。他の席から聞こえる話し声や、カチャカチャと食器がぶつかる音だけが聞こえる。
…俺、すげー居にくい…。帰ったほうが良いのかなと考えてたいたら、
…はぁ…と、息を吐き、
翔くんには、かなわないな…。と、大野さんの澄んだ声が聞こえた。