きみがすき
第26章 *さん*
携帯を受け取った二宮くんは「もしもし」と、小さくそれに話しかけ、うんうんとはにかんで相槌を打ちながら、俺達にチラッと視線を泳がせ、少し離れたところへ歩いて行った。
その様子を見て、ほっ。と息を吐いたのは相葉くん。
その彼に
「先日はどーも。ご馳走さま。」
と声をかけた。
相「あ、こちらこそ!」
と、パッ。と笑って答える。
「呼んでくれたのに先に帰っちゃって悪かったね。」
相「ううん!俺が無理にお願いしちゃって。
忙しかったんでしょ?」
「いや、まぁ…年度初めは少しね。」
そう。
実は少し前に、智くんから連絡があって3人で飯(相葉くんの奢り)を食いに行ったのだ。
ま、つっても俺が居たのは1時間くらいだけど。
相「大ちゃんが、翔ちゃんがすぐ帰っちゃったって寂しがってたよ。」
ふふ。とその時を思い出しているのか笑いを漏らす。
…
なんだそりゃ…
「…お店は大丈夫なの?」
相「あ、うん。着信に気が付いたのがラストオーダー後だったから。
潤も心配してたんだけど、お客さんがまだ居たから、俺だけ抜けさせてもらってきたの。」
それで…松本くんが拗ねたのかな?
相「あ。…くふ。ニノちゃん嬉しそう。」
その声に視線をたどれば
携帯を耳に当てたまま楽しそうに話をしている二宮くん。
…へぇ…あんな顔すんだなぁ
恋するなんとやら。だな。