きみがすき
第28章 *ご*
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間違った。かな…
あの日の行動。
いくら考えてもわからない。
…けど
相葉ちゃんに、嘘をついてしまったこと。
別れ際…大すきなあの笑顔が無かったこと。
それは事実。
…相葉ちゃんの為にとしたことだけど、俺の気持ちは落ち込んでいくばかり。
あの日以来、相葉ちゃんとは会えてない。
ので、
久しぶりの堤防釣り。
のんびりできるこの環境がすきなのに…気持ちは少し落ち着いても……ちっとも楽しくない。
全然釣れないし。
『付き合ってからも悩むんだね。』
以前、俺がニノに言った言葉だ。
あの時ニノは、松潤が自分に手を出してこないことで悩んでいた。
『大切にされてるってことじゃないの?』
『素直に言ってみたら?』
そう返した俺。
どの口が言ってんだ。………この口だ。
すきだからこそ
…大切だからこそ
言えない気持ちもあるのかなって…最近そう思う。
*「…っさん?」
相葉ちゃんちに泊まった日。
期待してなかった訳じゃない。
キスは…したよ?けど…
*「おい。おっさん?」
やっぱり俺だけなのかな…
抱き合うよりも、キスよりも…その先を望んでいるのは。
やっぱり俺と相葉ちゃんのすきは違うのかな…
それとも…俺ががっつき過ぎなのかな。
俺って、こんなに欲が強かったっけ…
*「おい!起きろよおっさん!
引いてるって!」
…ん?
「…え?俺?」
声に、ムクッと頭を起こした拍子に被せていたキャップがコンクリートへ落ちた。
「っ…まぶし…」
光に目が眩む。
*「あ!やっと起きた!ねぇこれどうすんの?!おっさ……んじゃない!おにーさんだ!!」
うっるさ…
*「でもってちょーイケメンじゃん!
…って!じゃなくて!
糸!ねぇ竿が何かに持ってかれるから!」
え?竿?
と、まだ光に慣れない目を細めて声がする方を見れば…
これでもかとしなった竿が見えた。
…
お!マジか!釣れてんじゃん!
「巻いて巻いて!」
*「へ?え?!俺がやんの?!」
「ほら!巻けよ!逃げんだろ!そしたら弛めて!」
ここ最近で一番テンションがあがったのは間違いない。
*「おにーさん怖いよ…もぉ!…こう?!」
「そう!そしたらまた巻きながら引いて!」
…きた!きたきたきたきた!
大物じゃん!