きみがすき
第28章 *ご*
お店の奥から出てきたのはニノ。そしてニノに続いて松潤。
ちょっと…恥ずかしそうに出てくんのかな。なんて思ってたけど…
相「あーやっと出てきた。もぉ~遅いよぉ。」
ニ「うるさいなぁ。空気読んでよ。あいバカ。」
不機嫌そうに答えるニノ。
松「……わり…」
真っ赤な顔なのは松潤。
相「だって荷物。俺と大ちゃん帰りたいし。
ね?大ちゃん。」
と俺を見る相葉ちゃん。
ニ・松「「…え?」」
2人の声がハモる。と同時に2人の目が俺を見た。
「…お邪魔してます…。」
ニ「…さ、とし、さん?」
途端、みるみる顔を赤くしたのはニノ。
ちょっと後ろにいる松潤は、もはや茹でた蛸。
ニ「…え!!なんで?!なんで居んの?!」
つられて俺も恥ずかしいよ…
…なんかマジごめん。
相「俺に会いに来てくれたんだよ。ね?」
そんな3人の様子なんて、全然気にする事なく、ニコニコと笑って俺に同意を求める。
「…うん。」
ほんといろいろごめん。
ニ「……もしかして…」
「あ!大丈夫だよ!殆ど聞こえてないから!」
慌ててフォローしてみたけど…
ニ「……。」
ニノは口を開けて無言になった。
相「くふふ。大ちゃん面白ーい♪」
間違ったらしい…。
相「んじゃ俺たちは帰るね。行こー?大ちゃん。」
そう言って俺に手を伸ばした。
「…あ、俺さ…これから約束があって…だからここで。」
相「え…?今から?約束?」
宙に浮いたままの相葉ちゃんの手。
…本当は直ぐにでも掴みたい。
でも…これ以上迷惑かけたくない。
負担になりたくない。
…うん。大丈夫。
「そう。友達から連絡あってさ。駅前で、飲んでるんだって。だから顔くらい出せって言われて。」
相「……。」
「あ、もう、飲まないから大丈夫だよ。
大学の友達に会うの久しぶりだし。俺も顔出したいだけ。」
相「…そう、なんだ。」
「うん。急に来ちゃってごめんね。さっきは来てくれてありがとう。気を付けて帰ってね。
ニノも松潤も、またね。」
笑って。手を振って。
我ながら上手に、嘘が付けたんじゃないかなって。
…嘘を付くのは良くない。けど、これは必要な嘘だった。と自分に言い聞かせて、お店を出た。
カラン。と閉まった扉。
外は真っ暗。
汗が引いた体には、この夜風は寒く感じた。