きみがすき
第29章 *ろく*
空には、もくもくと大きな入道雲。
止まることなく季節が進んでいることを教えてくれる。
その下で、俺は話を続ける。
「そっからは、 もう全然世界が違って見えて、毎日ビックリするくらい楽しくて。カラオケ行ったり、旅行行ったり、バカやったり…まぁ色々と迷惑もかけたけど。
あ、初めて彼女もできたんだよ。あっという間の大学生活だったなぁ。」
うん。凄く楽しかった。
俺の大切な思い出。
イチ「そう、なんだ。」
「俺、就職先も何処でもいいやぁだったんだけど、夢に向かって頑張ってる人、自分の人生に向き合っていく人、そんな皆を見てたら俺もちゃんと考えようって思えた。」
眩しい空を見上げる俺の視界の隅で、こくん。と頷くイチが見える。
「今の会社、大変だけど凄くやりがいがあって、で、4年目の時に、俺が指導者になった後輩がいてね、ニノっていうの。今は友達なんだ。」
ニノ。のフレーズにイチの肩がピクッと揺れる。
「俺、指導なんて初めてだったし、そういうの苦手だし、その頃のニノは尖ってたしもう大変(笑)
でも沢山悩んだ分、ニノと一緒に俺も成長できた。」
仕事以外で、こんなに話続けるのは初めてかも。しかも自分の事を。
そして…
「でね。去年、ニノに連れて行ってもらったお店で、出逢えたんだ。」
もう…なんだか懐かしいね。
でも、今でもはっきり覚えてる。
イチ「…恋人に?」
「うん。相葉雅紀に出逢えた。」
そう言ってイチを見て、にこっ。と笑えば、その瞳が大きく開く。
「初めは…なんか騒がしい人だな。とか、表情がコロコロ変わって面白い人だな。とか、松潤とはまた違ったイケメンだ。って印象。
けどね、その日、季節にはまだ早い ゆきが降ってさ。俺が寒がってたらマフラーを貸してくれたんだ「貸してあげる。」って。
その時俺ね、あぁまたこの人に会えるんだ、会いに来ていいんだ。って嬉しくて…凄くドキドキした。」
気持ちに気が付いたのは、もうちょっと先だけど、きっともう…初めて出逢った時には、相葉ちゃんをすきになってたんだ。