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きみがすき

第30章 *なな*

*大野*




言葉にすることで、俺自身が気付かされる。

「イチが言ったじゃない?すきでもないのに付き合う奴はきらいだって。
今までの俺はね、正にそれ。すきって気持ちも、すきってどんなことなのかもわかってなくて人と付き合ってた。」

黙ったままのイチ。

「今までの俺をどうこう言うつもりはないよ、それが事実だし。
…その人は、そんな俺に、初めてすきって気持ちを教えてくれた人なんだ。
すきって気付いてからは、ちょっとのことで嬉しくて楽しくて。少しの事で悲しくなって、落ち込んで、苦しくて…

でもそれってさ、その人だから…相葉ちゃんだから、色々な気持ちになれるんだなって。」

俺は、なにを1人で悩んでたんだろう…
こんなにも簡単なことだった。


イチ「………ふぅん。」
と言ったイチの顔を見れば…口をへの字に曲げている。

あ…
「一方的に話してごめん…。」
間違った…?

イチ「……答えになってない。」


「え?」


イチ「俺はどんな人?って聞いたんだよ。」

あ…そか。

「えっと…相葉ちゃんは、元気で明るくて……ふふ。笑った顔がね凄くすき。キラキラした笑顔とか色々あって全部すきだけど、一番は くしゃぁっ。て笑った顔かなぁ。こっちまで幸せになっちゃうような。」


イチ「…」


「あ、あとね!すっごく優しいの。こんな優しい人見たことないって思うし…あーでも、結構意地悪もするんだよね。俺が恥ずかしがってたり、嫌がってるのを楽しんでる風がある。」


イチ「……」


「勿論!顔も格好いいんだけど、スタイルもバツグンだよね!顔ちっさいのに、手足はスラッと長くてさぁ…体は見た感じ細いのかな?って思うんだけど、抱き付いたら結構ちゃんと筋肉ついてて男らしいの。
俺、歳上だからさぁ、このままじゃ駄目だって思って、最近鍛えてるもん。
そうそう!あとはね~…」

イチ「っだぁ~~!!!もういい!もういい!!」

あれ?
「いいの?」


イチ「もう十分!腹いっぱい!
つーか、誰がノロケろっつったんだよ!こっちが恥ずかしーわ!」
見れば…顔を真っ赤にしているイチ。

「? ノロケじゃないよ?俺は本当の事を…」


イチ「……はぁ…自覚ゼロかよ…。
こんな堂々と、兄貴へのノロケを聞かされるとは思わなかったよ。」
と、イチは呆れた顔で俺を見て、溜め息混じりにそう吐き出した。

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