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きみがすき

第31章 *はち*

*大野*




ピピッピピッピピッ…

枕元で鳴っている音に目を閉じたまま手を伸ばす。

6:30

いつも会社に行くときと同じ時間に鳴った携帯のアラーム。
手探りでスライドすれば、ピッと音をたてて止まった。


閉じたままだった瞼をうっすらと開け、寝室にはと遮光にしたカーテンに手をかけ、少しだけサイドに引いた。

途端、眩しいくらいの朝日が俺の顔を照らす。

予報は当たったみたいだ。

良かった。と思わず緩んじゃった顔。
そして俺は、よっ。と最近少しだけ頼もしくなった腹筋に力を入れて起き上がった。




10:10


玄関を開ければ

「あっつ…」

と声に出ちゃうほど気温はあがってて
暑いのが基本苦手な俺は、普段だったらテンションが下がるけど

トントントン。

と、エレベーターを使わずに階段を降りる俺の足取りは軽い。
1歩。アパートから出れば 白い雲がゆっくりと流れていく青い空を見上げ

「よし。」

と、自分に気合いを入れた。




今日は、約束の水曜日。


そう。打合せの日程調整や今後の仕事の都合を付けて、なんとか水曜だけ丸1日休みを取ることができた。

でも、休みが取れる。かどうかがギリギリまで微妙で相葉ちゃんに連絡できたのは、2日前の月曜日の夜だった。

仕事中だからメールで伝えることにしたんだけど…もしかしたら来週休みが取れるかも。の一言でも事前に伝えておけば良かったんじゃないかなって今更ながらに思ったり…

だって、休みの日くらいゆっくり寝てたいだろうし、やりたいこともあるかも…なんて…

俺ってなんでこうも気が利かないんだろう…


そんな事を悶々と考えながら、でも少しでも長い時間 相葉ちゃんと一緒に居たい。と言う思いを込めて

《水曜日休みが取れたんだ。お昼ご飯でも食べに行かない?突然のお誘いでごめんね。》

お疲れ様。の言葉と共に、図々しくお誘いをしてみた。


ブブッ。

夜中に返ってきた返事。
いつもは寝ちゃうと気が付かないのに、微かに震えた携帯に目が覚めて

《こんばんは♪おはよー♪♪
本当に?!お昼行こう!どこが良いかな?遠出しちゃう??
明後日…あ、もう明日だ!楽しみだね(^^)
おやすみ~》



そのメッセージに…

「ふふ」

相葉ちゃんも楽しみにしてくれてるんだなって嬉しくなって、暫く眠れなくなっちゃった。

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