
きみがすき
第31章 *はち*
バシャバシャ…
バシャバシャ。
「あはっ、懐かしぃ。」
相「ね、ほんと。俺 何年ぶりだろ?小学生以来??かな?」
「俺もー。なんか思ってたよりもペダルが軽く感じる。」
相「あ、わかる!
俺、ペダルが最後まで届かなくて 背凭れに寄りかかって必死で爪先伸ばして漕いでた!」
「あはは、俺もやったわぁ。」
そう。俺達は今、ボートに乗っている。
まぁ…普通のじゃなくて、白鳥の形をしたやつ(笑)
視界に入ったら、無性に乗りたくなってしまった俺。そして相葉ちゃんも。
大人の男が2人でね。でも、そんなことも出来ちゃうのは、やっぱり相葉ちゃん。だからなのかなって。
相「大野隊員。あそこ怪しいよ!」
「え?どこ?行ってみよう!」
また始まった謎の設定。
…でも、俺も乗り気なのは
『ポッシーがいるから気を付けろよ。』
なんてボートを貸してくれる おじちゃんに言われちゃったらねぇ?
男だったらワクワクしちゃうじゃん!
あ、ポッシーてのは、この湖にいるネッシー的な未確認生物の名前らしい。
相「あー…なんだぁ。木の枝だ。」
「残念。相葉隊長、あっちの方行ってみよう。」
バシャバシャ、バシャバシャ。
小学生かって感じだけど…
楽しいんだもん。いいよね。
.
相「…はぁ…だいぶ遠くまで来ちゃったね。」
「ね。足疲れたー。相葉ちゃん。後よろしく。」
なんて…ちょっと我儘言ってみたり
相「えー?(笑)」
相葉ちゃんの苦笑いの声を聞きつつ、俺は揺れるボートの背凭れに寄りかかって目を閉じた。
さぁぁ…
通り過ぎる風が、やっぱり気持ちいい。
と、
相「…あ!大ちゃん!見て!」
え?
突然の焦った声。
慌てて目を開けて相葉ちゃんを見れば…
その指は、相葉ちゃん側の水面を指さしている。
いたの?!
と、俺は相葉ちゃん側に身を乗り出し…
パシャンッ…!
…
……え?
俺の頬っぺたにかかった水。
相「いひひ。ひっかかったぁ(笑)」
ゆっくりと…少し見上げれば、直ぐそこにあった相葉ちゃんの顔は、悪戯っ子。
…
……
やったな?
「相葉ちゃ……っ!」
文句の1つや2つ。お返しの1つ。
すら出来なかったのは…
相「いただきー♪」
無邪気に笑う相葉ちゃんに、キスをされたから。
