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きみがすき

第31章 *はち*



相「あ、ねぇ博士。これは?」



「…これは黄色いから…キイロバナ。」


相「ぶっ…
じゃぁ…博士これは?」

……

「…青いから…」

相「アオバナ?」


「…正解。」


相「ぶはっ!…くっくふふ……大ちゃん、あ、間違った。博士面白ーい。」



……

なにが?




それは
湖に向かう途中。

相「この花の名前なんて言うんだろうね。」
っていう相葉ちゃんの素朴な疑問から始まった謎の…俺が植物博士。という設定…らしい。

ヒマワリとか、チューリップとかさ。良く聞く花の名前と見た目くらいは流石にわかるけど、森の中に可愛く咲いてる植物は、知らない。

ので

相「これは?」


「シロ…イクサ。」

酷いまでのちょー適当だ。

相「ぐふっ!あはは!」

………

とくだん面白いことは言ってない。
断じて言ってない。

言ってないけど、相葉ちゃんは笑う。

それも

相「くふふふふ…あーもぉお腹痛ーい…だってクサって…ふふ…ハナじゃないんだもん。」

凄く楽しそうに。


不思議。というか…

…だから。というか

「…くふ…」

何故か俺も

「…ふふっ……あははは!」

つられて なんだか面白くなっちゃうんだよね。




そんな…ゆっくりと道草をしながら、やっと辿り着いた、やっぱり結構遠かった湖。

相「わぁ…」
「おぉ…」

目の前に広がった予想以上の湖の広さと、森林とキラキラと風に揺れる水面の綺麗な景色に思わず声が出る。

相「キッレー…」


「うん…」


相「……あ、ボートも乗れるんだね。」

ホントだ。
相葉ちゃんの視線の先に見えたのは、湖の畔に設置されたボート乗り場。

ボートなんて乗ったのいつ以来だろうと言うか…俺、ボート乗ったことないかも。どっちかって言うと…

大・相「「あ。」」

声が重なったのは、きっとアレが目に入ったから。

自然と向き合った俺達。

相「……やっちゃいます?」


「…やりましょう。」


同じことを考えてたみたい。

それがまた嬉しかった。

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