きみがすき
第31章 *はち*
ケロケロ。
ケロケロ。
田んぼから聴こえるカエルの歌
駅のホームに居るのは、俺と相葉ちゃんだけだ。
相「えっと…次の電車は…これだ。
…40分くらい待つけど、9時頃には大ちゃんの駅に帰れそうだね。」
…
……
ねぇ…相葉ちゃん
相「それまで何してよっか?
ご飯屋さんは…なさそうだよねぇ。」
俺ね
相葉ちゃんともっと一緒にいたい
…相葉ちゃんにもっと触れたい
相「まぁ40分だと、ご飯するのには微妙な時間か。」
…俺
相葉ちゃんに、もっと触れてほしいよ…
相「あ、しりとり!しりとりしよっか!
ね?大ちゃ……ん…?」
ナイス提案!ばりに、俺の方へ振り返ろうとした相葉ちゃん。
きっとその時の顔は俺のすきな満面の笑顔
…でもその笑顔は見れず終い
俺が、後ろから抱き付いたからだ。
相「っと…大ちゃん?」
「…」
相「どうしたの?こんな所で大胆♪」
お腹に回した俺の手を、相葉ちゃんは当たり前のように握ってくれる。
…
……
少し 緊張する
けど…
「ねぇ…」
相「んー?」
「相葉ちゃんに訊きたいことがある。」
相「ぇ…なに?」
流石に俺の様子がいつもと違うと思ったのか、相葉ちゃんの声がちょっとだけ固くなる。
…
……大丈夫、怖くない
だって俺…一緒にいてわかったんだ
「俺ね、今日すごく楽しかった。」
すごく…幸せだったから
相「…うん。」
「…でもね。足りないんだ。
すき過ぎて 欲張りになってるの。
もっともっと相葉ちゃんと一緒にいたいって…もっと……もっとね?相葉ちゃんに触りたい……触ってほしいって…」
相「…ぁ…」
「俺は、相葉ちゃんと……そういう事がシたいって思ってる。」
相「……」
「相葉ちゃんは…どう思ってる……?」
相「………」
そう。
これは、今までお互いに触れてこなかったことだ
そして
なんとなくだけど…相葉ちゃんが避けていること
なんじゃないかなって
俺の手を握ったままの相葉ちゃん。
その手が、少し…震えてる。
相「………っ俺は…」
それは、周りの音に掻き消されてしまうんじゃないかってくらい小さな声。
相「…………できない……」
…その声も、少しだけ震えてた