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きみがすき

第31章 *はち*



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相「…?」



俺達の目の前に広がるのは…田んぼ。
所謂、田園風景。

相「ここはどこ?」

……

そしてその田んぼは、夕陽に照らされて赤く染まり…とても綺麗。

相「あれ?」



……そう。

「寝過ごしました…大幅に…」


大・相「……」


相「………ぶっ!……くくくっもぉ…大ちゃん最高!面白すぎー!」



なんも言えねー…




それは…ちょっと前。

ガッタン。

「…ん…」

大きな揺れで目を開けた俺。
ガタガタと揺れる振動と、さっきよりも少しだけ人が増えている景色に…あ、電車乗ってたんだ。と思い出す。

相「…大ちゃん?」

隣から聞こえた相葉ちゃんの、ちょっと不思議そうな声に、どうしたんだろうと横を向けば…

相「今の何駅?」

今?

…俺が目を閉じていたのはほんの数分。
だから…

「え?…△○駅辺りじゃない?」

と答えた後、ちらり。と外を見れば……数分前とは明らかに違う、陽射しの向き…に全く見たことのない風景。

相「……」
「……」

俺達は互いに顔を見合わせた。




で、取り合えず次の駅で降りよう。ってなって…
んでもって…相葉ちゃんに笑われてるところに戻り…ます。


相「あははっ!…あ、いや俺もすっかり寝ちゃってたし、気が付かなかった俺も俺だし………ぶっ!ふふふ…でもこんな寝る?!くふふふふ……あぁー楽しい!いっぱい寝てスッゴいすっきりしたぁ!」

相葉ちゃんは、ちょっと繋がってんだか繋がってないんだかの文章を言いながら、ひとしきり笑って、ぐぅーんと伸びをした。



「俺が…寝ていいよ。って言ったのに、一緒に寝ちゃって…ごめん。」


相「えー?なんで謝るの?
大ちゃんだって、昨日は遅くまで仕事してたんでしょ?
良かったじゃん!たくさん寝れて!俺、ちょー元気♪」

ふっかーつ!と言いながら、ニコニコと今日2度目の力瘤ポーズ。



……

あぁもぉ…

…相葉ちゃんは、やっぱりすごい

……うん

そうだね

「俺も…ちょー元気♪」
相葉ちゃんの力瘤ポーズを真似した。


「…ふふ。うん。」
そんな俺に、やっぱり相葉ちゃんは笑ってくれて…


その優しい笑顔が、なんだか胸を締め付けて


このまま…
今日が終わらなきゃ良いのに…

なんて、子供みたいなことを本気で思った。

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