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きみがすき

第32章 *きゅう*



笑ったイチは、空いてる方の手で グッ。と親指を立てた。

いやリスペクトって俺を?
…意味がわかんない。


イチ「でも おーちゃんさ、ここずっと元気ないよね。」



……

じゃぁなんだよ。
俺が元気ないって気がついてて…わかってて
何も聞かずにいてくれたの?


イチ「元気ない人がいたら、誰だって心配するっしょ?」
ね。おにーさん。と ニコっと笑う。



やっぱりイチの笑顔は相葉ちゃんに似てる。
けど違う。
…違うってわかってる。

でも俺は、その笑顔に会いたくて仕方がない。





あの日
俺達は誰もいない駅で 話をした。

相葉ちゃんが話してくれた事。
きっと今日まで…すごく考えてたんだと思う。

そんな相葉ちゃんに「待たない」と言ったのは俺。
…もう…待つのは嫌だったから。
それに………



そして俺達は、握っていた手を離した。



イチから連絡がきたのは翌日
《今日、そっち行くから遊ぼー♪》って
偶然。なんだろうけどびっくりした。


相葉ちゃんと話し合えたことに後悔はない。
けれど………
心にぽっかり穴が空いたような寂しさと、これからどうなるのか。という不安は…日に日に増すばかりで


そんな時
就活で近くに行くからと、頻繁に誘ってくるイチと、ただ釣りの話をしたり、仕事の話をしたり、他愛ない話をしている時間が、すごく有り難かった。

そして…
相葉ちゃんのように笑うイチに、相葉ちゃんを重ねてしまっていた…のかもしれない。





「イチも一緒にきて。」


イチ「いいの?」

寧ろこっちの台詞だ。

「うん。」

イチにとっては知らない方が良いことなのかもしれない。
ニノも松潤も…
けど…

イチ「顔こわー(笑)
おーちゃん?甘えられる人がいるっていーことだよ。」


そう言われて、ゆっくりと振り返れば
そこには、俺を見てくれている2人の瞳。

…本当だ。
良く見れば…心配そうに、でも優しい視線。

「そうだね。」

…ごめんね。

イチ「行こっか。」

ごめんね。

ごめんね相葉ちゃん。

一人で溜めとくには、俺…ちょっと限界みたい。

だから…

話すね。勝手にごめんね。

…ごめんね。





あとね

俺嘘ついた。


「待たない」
なんて言ったのは嘘だよ
ただの強がり
だだの弱虫


だから…
早く迎えにきてよ

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