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きみがすき

第33章 *じゅう*





ニ「また明日ね。智さん。」

まだ、少し人が多い駅前で、かずは大野さんに声をかけた。

けど、うん。と笑った大野さんは、何故かちょこちょこと俺の方へ近づいてきて…?


大「松潤。今日はごめんね。」
申し訳なさそうに、そして2人には聞こえない程度の声で俺に言ってきた。

? 何の話?

大「デート。台無しにしちゃって…」

…あぁなんだ。

「別に。」

てかなんでわざわざ俺?

大「それと、俺、嬉しかった。」
と、ヘラっと笑った。

「っ…は?…」

…嬉しかった?

不意に向けられた笑顔に驚いたプラス、意味不明な言動に困惑する俺を余所に
大野さんは、満足したように俺から離れていった。



……

この人…謎。マジで謎ー。


んで
大「じゃぁね。」
と手をあげて、駅に向かおうとする大野さんを

イチ「おーちゃん!」
引き留めたのはイチト。

大「ん?」


イチ「あ…その…俺さ」


大「?」


イチ「…あーと…」


大「…」


イチ「……」


大「イチ。」


イチ「…え」


大「俺、今週釣り行こうかな。」


イチ「…」


大「1人も良いけど、イチがいると楽しんだよね。」
またヘラっと。

イチ「おーちゃん…」


大「ふふ、じゃぁバイバ…っわ!」

!?

きっと大野さんは、手を振って去ろうとしたんだと思う。
でも、それが出来なかったのは…


ニ「はあぁ?!」


イチ「っおーちゃん!俺…!」
ガバッ!と勢い良くイチトが大野さんに抱きついたからだ。

大「っちょっ…苦し…」


イチ「俺!おーちゃんなら抱ける!つーか勃つ…」

ゴンっ!!
スパーーンっ!!!

イチ「ってぇ!!」

その瞬間、俺の拳と かずの平手がこいつの頭にクリンヒットしたのは言うまでもないよね。



ニ「お前…なんの真似だ?」


イチ「痛い!ちょー痛い!もお!冗談っスよー(泣)
俺はただ、おーちゃんに謝りたかっただけなのに…」

…勝手に調べてた事をか?
いや、つっても…

ニ「さっきの何処に謝罪の気持ちがあったんだよ?!つーか離れろ。」

そーだ そーだ。

イチ「釣り。しようね♪」


ニ「無視か?」


大「苦し…」

なんて言いつつ、顔は笑ってる大野さん。


ワイワイ。

ガヤガヤ。


そんな
やっぱり煩い、それぞれなに想う夜。

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