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きみがすき

第36章 *じゅうさん*

*大野*




「すいませーん。」

お客さんが帰った後の席を片付けていた俺。

「え…?あ、はい。」

後ろから声をかけられて、一瞬 誰に話しかけてるんだろうと思ったけど

そうだ。お客さんからしたら、俺もイチ店員だ。
と、慌てて返事をし振り返った。

「あ!ほらやっぱりちょーイケメン!」
「ほんとだー!」
「やばーい!」

そんな事を口々に言い出したのは、テーブル席に座る若い女の子3人

「ご注文ですか?」

俺じゃ注文されてもわからないから、もしそうだったら相葉ちゃんに変わってもらわなきゃ。

「最近入ったんですか?」


「え?…あ…今日だけ。です。」


「えー!勿体ない!なんで?他で働いてるの?」
「名前なんていうんですか?」
「何歳ですかー?」

次々に女の子達の口から出てくる言葉。

酔ってるのかな?
てか…注文?

「えと…」


「あー困ってるーかわいー!」
「ここの店員、みんなイケメンだよねー。」
「わかるー!潤くんも雅紀くんも格好いいよね!」
「でも今日は潤くんいないね。それでおにいさんが出てるんじゃない?」

そっかそっかー。
と女の子達は盛り上がる。


常連さんなのかな?
なんで俺、呼ばれたのかな。



……

そりゃ相葉ちゃんはすごく格好いいけどさ…
でも…雅紀くん。て

『雅紀、けっこうモテるんですよね。』
いつかの松潤の言葉


…そっか
接客業って…沢山の人と会って、話したりするもんね。
あのキラキラな笑顔。みんな格好いいって思うよね。


モヤモヤ

モヤモヤ

……今の俺に妬きもちをやいたり、心配する資格なんてない。
けど…
雅紀くん。雅紀くん。と楽しそうに話す可愛らしい女の子達を目の前にして

男の俺は…やっぱり手も足も出ないんじゃないかって…やっぱり相葉ちゃんは女の人が良いんじゃないかって…


そう思ってしまう。



「ねーねーおにいさん 彼女いるんですか?」


「…俺は…今は…」

相「大野さん。食器溜まってるよ?」



いつの間にか近くにいた相葉ちゃん。
ついさっき見た時は厨房にいたはず…

「あー雅紀くん♪」


「ごめん!すぐやるね!」
何してんだ俺!少しでも役に立たなきゃ!と慌てて戻ろうとした…俺の耳に


相「大野さん 恋人いるから、だから狙っちゃ駄目だよ。」

そんな声が入ってきた。

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