テキストサイズ

きみがすき

第37章 *きみが・・*

*大野*




きゅきゅきゅ。

きゅきゅきゅ。


目の前のテーブルや椅子を丁寧に拭いていく。
あとは床を掃いて…終わりかな。

相葉ちゃんからお願いされた事を頭の中で振り返り、抜けはないな。ともう1度確認した。


「いつつ…」

よ。と曲がった腰を伸ばそうと反らせば、腰がピキっ。と鳴った。

歳かなぁ…
なんて、この期に及んでそんな事を考えた。




『帰してやんないけどね。』


あの言葉が示すのは、俺にとって善いことなのか、善くないことなのか



……

う~ん
善くないことな気がする…。
だって、怒った顔してたし。普段温厚な人が怒ると怖そうだよね。
俺…なにやらかしたんだろう…。


…でもさ?
相葉ちゃんって結構天然じゃん?前みたいにただ勘違いして怒ってるとかなんじゃない?

……ありえそう。


まぁもう俺には心当たりはないし。検討もつかないから。相葉ちゃんに聞くしかないんだ。



あの後
相葉ちゃんは相葉ちゃんにしか出来ない事を。俺は俺が手伝える事を。
少し、距離が取れたお陰か、俺は今の状況を冷静に考えることができるようになった。

つまり。
帰さない。って言うことはさ
相葉ちゃんも何か俺に話があるんじゃないかな?


…前の彼女
もう会えたのかな。ちゃんと話ができたのかな。
会えてないとしても流石に連絡は取ったよね?

気になるけど気にしたくないような…
聞きたいけど聞きたくないような…


…あ
まてよ…もしかして

相葉ちゃん。俺の接客が悪かったこと怒ってるのかも…
お店に関しては松潤も相葉ちゃんも妥協しない。


ありえる!



恐々…
変わらず、厨房を忙しなく動き回る相葉ちゃんを覗く。



……

…って、いやだから。
考えたってわかんないんだって…。





でも…この時間があって良かった。
あのまま話してたら俺、変な事ばっか言って、何が言いたいんだか状態になってたよ。


今は……うん。
もう平気。落ち着いたから。

今なら
ちゃんと自分の気持ち伝えられる気がする。


今さらなんだよ。
って呆れられちゃうかもしれないけど。


もう。後悔はしたくないから。



よし!と俺は拳を握り、人知れず気合いを入れた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ