テキストサイズ

きみがすき

第37章 *きみが・・*



相「お疲れ様。凄く助かった。
ありがとう。」

お礼と労いの言葉と共に、コト。と目の前のテーブルにマグカップが置かれた。そこからは、あの日の様にユラユラと湯気が立ち上る。


「あ、ううん。全然。お茶、ありがとう。」

座ってて。と言われた俺は…迷った末に
ニノと翔くんと、初めてこのお店に来た時に通された、ブルーの熱帯魚達が泳ぐ水槽近くのテーブル席に座った。

あの時は…相葉ちゃんに会う前。
あの日は、相葉ちゃんいたのかな。


「ねぇ相葉ちゃん。」


相「ん?」
同じマグカップを持って目の前の席に座った相葉ちゃん。

「この魚達の世話っていつしてるの?」
つんつん。と水槽をつつけば、なになに?とばかりに指に寄ってくる。…ふふ。かわいい。


相「あぁ…この子達は、この場所の管理人の趣味で飼ってて。だから水槽の掃除とか、餌とかは全部その人がやってるよ。」


「管理人?」


相「うん。店の責任者は潤だけど、この場所は借りてるだけだから。
場所自体の所有者は別で、昼間 勝手に来ては魚達の世話してる。」

へぇ…成る程。
お店だけでも忙しそうなのに、魚の世話までってなると大変だろうなって思ってたんだ。

納得。

「ねぇ相葉ちゃん。」


相「ん?」


「このお店、名前なんていうの?」

すっごく失礼な質問。
でも、今日ここに来てからお店の名前を探してみたけど、何処にも見当たらなかった。

相「え?名前?」


「うん。ごめん…俺知らなくて…」

ホント、翔くんに呆れた目で見られちゃうのは仕方がない。だって相葉ちゃんのお店なのに…

相「あー、ふふふ…」


「?」
急に笑い出した相葉ちゃん。

なんか俺、変なこと言った?
…まぁ失礼なことは言ったかもしれないけど、笑われるようなことは言ってない。

相「ふふふ…ごめん。ちょっと可笑しくなっちゃって…ふふ…
だって知らなくて当たり前だもん。」


「??」
ますますわからない。


相「なんとなんとこの店、名前が無い♪」
ぴっ。と人差し指を立て、楽しそうに言ってきた。



…へ?

なにそれ。

「それは…超斬新だね。
でもそれでお店って出せるもんなの?」
そこら辺は全然詳しくないけど…


相「ね?出せるもんなんだね。俺も良くわからないや。潤がやってくれたから。」

と、今度は可笑しそうに笑った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ