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きみがすき

第37章 *きみが・・*



もしかして気を使わせちゃったのかも…
そう思って、俺も改めて相葉ちゃんの腕を見たけれど…

ついさっきは、白く血の抜けた様になっていたのに、すっかり見当たらない。
というか、赤くすらなってなかった。

いや勿論。相葉ちゃんに怪我させたかったわけではないし、何ともないのなら良かった。
…んだけど



これは
相葉ちゃんの腕が強靭なのか
はたまた
俺の握力が弱いのか…

結構、釣りで鍛えられてると思ってたんだけどな。最近大物釣ってないからかな。

握力鍛えるやつ…買おうかな。

なんて本気で考えてしまった。



くいっ。

「わっ」

グーパーしていた手を見てた俺の視界が、急に切り替わる。

相「何考えてる?」

そこには相葉ちゃん。
両手で顔を包まれた俺は、強制的に上へと向けられていた。

「あ…やぁ…」
握力鍛えようかな。なんて考えてたなんて流石に言えない


相「…大ちゃん。」
小さく呼ばれて
俺を見る瞳を見返せば、それは、ゆらゆら揺れてて…


…あ、これって…
とどめ刺される…の?

彼女とより戻ったとか。聞かされる…?



けど…そんな俺の心情とは裏腹に
ゆっくりと…優しく、俺の頬っぺたを相葉ちゃんの親指が撫でる。
泣き止んではいたけれど、きっと涙の跡が残っていたんだと思う。


相「あの…言おうか迷ったんだけど…」
歯切れの悪い口調

「…な、に…?」
その言葉に、体が硬直するのがわかった。


相「でも…もうわかってると思うし…ちゃんと俺の口から言わなきゃって…」


「っ…」
確信的だ。

聞きたくない…
聞きたくない…けど

ちゃんと…受けいれなきゃ……





相「さっきは…わざと怒らせるようなこと言ってごめんね。
でも…大ちゃん、ああでもしないと本音話してくれそうになかったから。」

……ん?

相「演技とはいえ、大ちゃんにあんなこと言って…まぁ俺、自分で思うくらい下手だったし、超バレバレだったと思うけど…はは…」

…演技

相「でも、お互いに言いたいこと言えて良かったね!」

…は?

相「大ちゃん ありがとう。」
ニコニコと…



……

こーいうのってなんて言うんだっけ?

手の上で転がされる?

…違う。
そんな可愛いもんじゃねーな。



……

そうだ。これって所謂

「っ詐欺だ!!」


相「? 鷺??」

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