きみがすき
第4章 *サン*
どうしよう、避ける?避けない?
少し広角を上げた唇に、真っ直ぐ俺を見る綺麗な目。
もう頭の中は真っ白で、どうしたらいいのかわからず、ギュッと目を閉じた。
大野さんの手が俺の後頭部に回される。
もうすぐそこに大野さんの顔があるんだと思うと、心臓が壊れるんじゃないかってほど、脈うった。
あぁ俺、キスされちゃう…。
「はい、ストーープ。」
声と共に、俺は口を塞がれ、身体ごと後ろに引っ張られた。
突然のことに、思わず目を開けると、目の前には、あれ?っとキョトンとしている大野さん。
かず、なにしてんの?と耳元で脳みそに響く声。
潤くん…。だ。
口を塞がれたままだから後ろを振り返れない。
けど、いつもより低い声に、潤くんが不機嫌な事がわかる。
でも、そんな声とは反対に、俺のお腹と口にある手の力は優しくて、何故だか無性に胸が苦しくなった。