きみがすき
第1章 *ゼロ*
挨拶をしようとしたら、大きな欠伸。
思わず挨拶より先に思った言葉が出てしまった。
早く起きちゃって、とふにゃっと笑うこの人。
ん?と、ほんの少しの違和感。きっと毎日この人と組んで、毎日顔を合わせてる俺にしかわからないような違和感。
目が腫れてる。
ほんーの少しだけど。
泣いた?
ま、プライベートが気にならないって言ったら、嘘になるけど、踏み込んではいけないこともある。仲良しって周りからは言われるけど、センパイだしね。
だから、今は気が付かないふりをしてあげる。俺って空気が読める男だからね。
でも、大野さんへの好奇心は止められないんだよねー。
今夜『仕事の相談』て名目で飲みにでも誘ってみようかな。