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きみがすき

第1章 *ゼロ*

*大野*




ニノの手が俺の髪をさわる。
頭の後ろか、そりゃ気づかねーわ。

ニ「はい、だいたい直りましたよー。お客様。」

「アリガトウゴザイマス。美容師さん。」

なんてくだらないやり取りをして、笑い合う。


ニノと仕事を組んで3年目。こいつは他の同僚に負けず頭の回転が早く、芯がしっかりしている。
ほとんどの時間一緒にいるけど、嫌にならないのは、ほどよく気を使ってくれるからだと思う。近すぎず離れすぎずってやつ?


なんて思いながら談笑してると、
「「おはようございます。」」と、黄色い声。
職場の女子社員達。

「はよ。」「おはよー。」

挨拶が返ってきたのが嬉しいのか、ほんのりほっぺたを紅く染める。
可愛らしい笑顔で、「今日も仕事頑張りましょうね!」と、嬉しそうに各々のデスクへ向かう。


そんな女の子達を見て、
「ニノってほんとモテるよね。」と尊敬の眼差しを向ける。


一瞬ニノがポカンと間抜けな顔をする。

あ、珍しい顔。笑

ニ「は?今のはどー見ても…」
と、ニノが言い終わる前に、

キーンコーンと、朝礼を告げる鐘がなり、最後まで聞けなかった。


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