
きみがすき
第6章 *ゴ*
大「んふふ」
隣から聞こえる、含み笑い。
俺が潤くんに会えてないのが、
そんなに面白い?
思わず大野さんを睨んでしまった。
大「あーごめん。ごめん。
バカにした訳じゃないよ。
…なんか、いいなって思ったの。」
「え?」
大「すきな人がいて、いいなって。」
翔くんいわく、俺は本当に人をすきになったことがないらしいからね。
と、不満そうに口を尖らせた。
その表情と、ふて腐れた態度に、
思わず、くすっと笑ってしまった。
確かに…そうかも
「大野さん、
…すきな人がいるって、良いですよ。
それだけで…なんか頑張れますから。
そりゃ悩むことも多いですけど。」
俺が、こんなこと言うとは思ってなかったのか、
一瞬目を大きくして、
でも直ぐにいつもの優しい笑顔。
大「恋する乙女だねぇ。」
うんうんと頷く大野さん。
「なんですかそれ。」
と言いながらも、
あながち間違ってないかもって思った。
大「気持ちは、伝えないの?」
ちょっと遠慮がちに話す大野さん。
この際だからと、
気になってたことを聞いてみることにした。
「大野さんは、男がすきな俺を、変だって思わないんですか?」
大「変?何が?」
と、首を傾げる。
大野さんの頭には、はてなマーク。
「何がって、…男が、男をすき、なんて、
その…気持ち…悪くないですか…?」
最後の方は、言葉が震えてしまった。
