きみがすき
第8章 *ナナ*
相「あ、ねぇ名前、教えて?」
え?
「だから、大野。」
相「違うよぉ。下のなまえ!」
あぁそういうこと。
「智。大野智。」
相「大野、智、さん。
おおの、さとし、さん。
おーの、さとしさん。」
何度も俺の名前を繰り返す。
なに?
相「ね、ね。大野さんの大野は、
大きいに野原の野でいいんでしょ?」
「…そうだけど。」
……ほんとなに?
相葉さんは腕を組み、首を傾げて
何やら「う~ん」て考えてる。
あ!と突然、声をあげて俺を見る。
相「じゃぁ!だいちゃん!
大ちゃん!初めまして!
よろしくねぇ♪」
と、これでもかってくらいの笑顔。
そして、俺に右手を差し出した。
だ、大ちゃん?
急に?
初めまして?
今ごろ?
なんなのこの人。
自由過ぎる。
でも、なんか…
「あははははは!!」
笑えてくる。
ほんっと変な奴。
目の前には、
ぽかーんとした顔。
右手を出したまま固まっちゃった。
ひとしきり笑って、
出てきた涙を左手で拭う。
「こちらこそ、よろしくね。
相葉、ちゃん。」
と、俺も笑って
その右手を掴んだ。