きみがすき
第9章 *ハチ*
でも、なんだか釈然としない智くんの表情。
大「………。
しょーくん…。
…なんか、怒ってる?」
…は?
「…はぁ?!
怒ってないでしょーよ!」
大丈夫だって、笑ってるでしょーが!
大「えー…?そうかなぁ?
だって、なんか目が死んでる?
ん?違うな。目の奥が澱んでる?」
そしてふにゃん…と顔を綻ばせた。
死んでる?!澱んでる?!ひどくね?!
何言ってんの、このおっさん。
なんで笑ってんの?
智くんの思考回路も、話の流れも
わからなくなった俺の口は、
きっと半開きだろう。
そして
大「俺がいなくなっちゃうの寂しい?」
そう言って、嬉しそうに笑った。
…。
あぁ、出たな小悪魔。
間違った、悪魔。
いや、もはや魔王。
「べっつに寂しくねーし!
ただ!俺が言いたいのは、智くんが酔っ払ったとき誰が相手するのって話!」
大「しょーくん♪」
「…智くんちのパソコンの調子が悪いときは?」
大「んふ♪翔くん呼ぶー。」
はぁもう…
「俺がいなくなって困るのは智くんで…」
大「うん。翔くんと会えなくなるの
俺、すごく寂しいよ。」
「…」
大「なんでも相談出来るの翔くんだけだし。」
「…あ、そう。」
大「また一緒にスイーツ屋さん行ってくれる?」
「はいはい」
大「一緒に並んでくれる?」
「それは勘弁してよ」
大「えー?」
ふふふ。と楽しそうに笑う貴方。
結局、最後は智くんのペース。
どんな空気も、のほほんとした
雰囲気にしちゃうんだから
もしかして、俺…もてあそばれてる?
…ま、今はいっか。
完敗です。