きみがすき
第9章 *ハチ*
智くんが俺の為に出した答え。
優しさなのはわかってる。
全部俺の為。
でも、その答えに俺は納得できなくて。
勝手にムカついた。
もっと冷静に、じわじわと
攻めてやろうと思ったけど、
呆気なく俺から離れていこうとする貴方に
余裕なんてなくて、
素直な思いが口から出た。
大「…だって、それじゃぁ…
翔くんは…。」
「…辛くないか。
でしょ?」
ゆっくりと頷く。
やっと振り向いてくれた。
「…俺ね。
智くんをすきな気持ちは嘘じゃない。
でも、言ったでしょ?
『すきだった』って。」
俺の顔見てよ。
「あの夜、一方的で、勝手だったけど、
死んでも言わないでおこうと思った気持ちを
言ったんだ。」
大「…うん。」
「はじめは苦しかった。報われない気持ちだってわかってたから、でもさ、暫くしたら、なんだか気持ちがすっきりしててさ…。」
じっと俺を見て、話を聞いてくれてる。
「そして今日、智くんが来てくれて
ちゃんと返事くれて、最後の引っ掛かりが
取れたみたい。」
そう、さっき抱き付かれた時に感じた。
大好きだった智くんにおい。今までは嗅ぐだけでどきどきして苦しかったのに、すごく落ち着くにおいになってた。
「だからね、もう俺は大丈夫だから。」
前に進める。
そう言って得意気に笑って見せてやる。