テキストサイズ

スイッチ

第7章 櫻井くんの災難。


A side

まいったな・・・。
何度もにのと酒を飲んだ事はあるけど、にのは一度もこんなに酔っ払ったりしなかった。



翔ちゃんと飲んで待ってるとメールが来た時は、久々に3人で飲み明かすのも良いかもな〜なんて気楽に考えてたのに・・・



まさかだよ。
2人が抱き付いてるとは思わなかった。
普段からスキンシップの多いにのだけど、そんなのと全然違う。



胡座をかいてる翔ちゃんの膝に向かい合わせに跨り、ピットリと密着した体。


翔ちゃんは両手を後ろに付いていたから、にのが強引に抱きついたんだろうとはすぐに分かったけど。



自分の恋人が俺じゃない男に抱き付いている。
いくら相手が翔ちゃんとはいえ、腹が立って当然だよね?
ありえねぇだろ、にの。



ふつふつとこみ上げる怒りを抑えながら声を掛けたけど、
花のように可憐な笑顔で振り返ったにのを見て完全に毒気を抜かれた。



ついさっきまで翔ちゃんに甘えてたにのは、俺の所に飛び付く勢いで駆け寄ってきて、昨日と同じように新妻感たっぷりに俺の世話を焼こうとする。



お前、自分が何してたか分かってねーの?



かなり呆れたが、可愛いにのを相手に怒る気はもう無い・・・
後ろめたさが無い事は、さっきの笑顔で明白だ。



一方で、翔ちゃんを見るとなんとも悲壮な顔。
ごめん、1番の被害者だよね・・・笑
たいして酔ってもなさそうな翔ちゃんは、完全に修羅場だと勘違いしていた。


ホント申し訳ない。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ