
じぶん克服日誌
第12章 課題
今日、
歩道もない細い道を歩いていて、
車が通るたび
歩行者は邪魔だろうなと思って
立ち止まり端に避けていた。
何台もそうして見送っていて、
ある一台が後方から近付いているのが見えて
また同じように立ち止まり端に寄った。
追い抜き際、
わざわざ窓を開けて
「すいませーん‼」と
にこやかにお礼を言われた。
それまでも
すれ違い際にぺこりとされることはあっても、
わざわざ窓を開けて
声をかけられるというのはなかったから。
急なことで驚いて、
お辞儀をすることしか出来なかった。
思いやってした行動に見合う
一番の対価というのは、
私は〝お礼〟だと思っている。
だから今日のすれ違った車の
ドライバーさんたちは、
みんな対価を払ってくれていたと思っている。
私が一方的に投げた思いやりに対して、
私が一方的に受け取った対価。
ぺこりという小さなお辞儀だけで、
私はわざわざ足を止めることなど
苦にはならないという気持ちに
繫がっていた。
けど、
自分が想定していた対価
以上のものが返ってくると、
途端に対処の仕方がわからなくなってしまう。
急なことに弱いのは
昔からだけど、
こうなってからはさらに酷い。
また新たに、
乗り越えるべき課題を見つけてしまった。
これはちょっと、
難しい課題になりそうだ。
