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兄達に抱かれる夜

第5章 毎日日替りであの子達と過ごして貰いますよ?





目が覚めたら、あたしは一人だった。




窓の外からの陽の光が、布団を明るく照らす。





あたしの隣には、翔太兄様は居なかった。




乱れた布団、掛け布団はちゃんとかけられていて、浴衣もちゃんと着ていた。




使用人に声をかけられて、許可を取って風呂に入って、自分の部屋へと戻り、暫く横になっていた。



食事も断り、学校へも行かずに部屋で過ごす。




体中が重くて、痛くて、食欲もない。




だけど、毎日決まった時間にピルを飲む。




夕方に仕事から帰ったお母様が、部屋へ現れるまで、自室のベッドで横になっていた。




「あなたには辛い事だったでしょうね?本当だったら、20歳になってからのしきたりだったのに、お祖父様には逆らえなくて、ごめんなさいね?」




部屋に来るなり、頭を下げる、お母様の綺麗な瞳には、涙が浮かんでいた。




「お父様は兄弟が居なかったから、お母様の時はお父様お一人だったんでしょうか?」




お母様もそのしきたりがあった筈だけど、お父様には兄弟が居なかったから、あたしのような事はなかった筈、嫌味のような事を言ってしまう。




ベッドから体を起こす事もせずに、失礼な態度を取ってしまう。




「私の時は、確かにお父様お一人だったけど、なかなか子供に恵まれなかったのですよ」




「だって兄様達は3兄弟で、大変珍しいって……」




だから、あたしは大変な思いをしなければ、ならなかったのに。




「……恵麻、この事を知っているのは、ごく限られた人間だけです、もちろん、お父様も知っています」




お母様はそこで一旦言葉を区切り、あたしの目をじっと見つめて、目を伏せて、口を開いた。




「私は子供がなかなか出来なかったのです、私に問題があったのか、お父様に問題があったのか、今となったら分かりませんが、病院に行って調べて貰おうと思った矢先にお祖父様が……」




お母様はそこで言いにくそうに、口ごもり、俯いた。




「長男である康と、次男である和は、私とお祖父様の子供なのです。
私とお父様の子供はたった一人、翔太だけなのですよ」




「そ……んな、ことって……!」

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