兄達に抱かれる夜
第5章 毎日日替りであの子達と過ごして貰いますよ?
ゾクリ、背中が粟立った。
鳥肌がたつ。
翔太兄様とお父様の綺麗な顔立が、ぴたりと重なり、お祖父様の皺のある顔立ちと、康兄様と和兄様の色気のある瞳が、頭の中で並んで、カチリと重なってしまう。
例えばあたしがお父様と、そのような事になったら……、お母様の立場になって考えれば、そういう事になる。
それは、嫌だ。
血は繋がってない、有馬の血は絶やされる事もない、だけど、そんな事が……、許される訳ない。
あたしはギュッと唇を噛んで、お母様に頭を下げた。
「お母様、教えて下さって、ありがとうございます」
あたしの両手をお母様が握り締めた。
「翔太は真っ直ぐな子です。
やはり、私に取って、あの子は特別な子です。
だけど、康も和も、同じくらい大事な息子です。
誰の子でも、自分の子は皆、等しく思っています。だから、あなたには、明日から、毎日日替りであの子達と過ごして貰いますよ。
私のような、辛い事にはならないように、多少強引でも、そうやって、昔から有馬の血は絶やす事なく、続いていたのですから」
毎日日替りで、お兄様達と過ごす。
それがどういうことなのか、分からない訳じゃない。
あたしが妊娠するその日まで、有馬の子孫を残す為に続けられる、しきたり。
ピルを飲まなければ、きっと、すぐにでも、妊娠してしまうのだろう。
あたしは誰の子を産むのだろう、有馬の血をひく子なら、誰でもいいのに、誰の子が欲しいのか、分からないのに。
子供が出来るまで、続けられるのが、分かっているのに。
敢えて自分から、苦しい道を選んでいるのかも、知れない。
それでも。
好きな人との子供が欲しい。
それが誰なのか、分からないから、敢えてこの道を選ぶ。
『俺の子を……産んで欲しい……』
そう言ってたのは、康兄様。
『貰い手がないなら貰うつもりだったし、俺はお前の事は好きなんだよ』
そう言ってたのは、和兄様。
『せめて……俺の子を産んでくれ……』
翔太兄様。