兄達に抱かれる夜
第8章 君は誰かな?
あたしが落ち着くまで、ずっと優しく抱きしめてくれた、和兄様、丁寧に体を洗ってくれて、一緒にバスルームを出て、髪をドライヤーで乾かしてくれた。
お風呂から出て、お洒落なワンピースや、靴、アクセサリーまで一式揃って部屋に届けられていた。
「ああ、ちょうど良かったな」
和兄様が家の使用人に頼んでいたようだった。
下着まで用意されてるけど、どう見ても、新しいモノだった。
和兄様に下着から、淡いピンクのワンピースまで、着せて貰って、髪をアップに結ってもらう。
「和兄様、上手、何でそんな事出来るの?」
鏡の中にいる和兄様が、イタズラっぽく笑った。
「一応、モデルだからね」
自分は適当にもともと着てた服に着替えて、髪も無造作に整えてるだけに見えるのに、ピシリと決まってる。
やっぱり、モデルだからなのかな、オーラが違う、内側から放つ魅力があるんだろうな、それに惹き付けられて、見惚れてしまう。
「食事に行こうね、ここのディナーは美味しいよ」
優しくエスコートされて、ホテルの高層階にある、夜景の見えるレストランに連れて行かれた。
贅沢なフルコース、外の景色にうっとりしながら、美味しい食事を一緒に食べる。
和兄様がやけに優しくて、あたしを見つめる視線が甘く感じて、ドキドキしてしまう。
まるで恋人同士のような、一時、優しくエスコートされて、甘い錯覚を覚えた。
食事を終えて、また、部屋へと案内される。
部屋に入って、夜景を見つめる、大きな硝子の窓、足元に広がる夜景を見下ろして、うっとりとして見つめていた。
「綺麗だね?」
隣に並ぶ和兄様があたしを、じっと見つめて呟く。
「えっ?」
夜景見てないんじゃあ……じっと見つめられて、顔が熱くなる。
和兄様もそれに気付いた様子で照れたように、髪をかきあげた。
「ああ、まいったね、恥ずかしかったね、こういうのは」
照れ隠しのように優しく後ろから抱きしめられて、頬にキスをされた。