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愛してるのに,愛せない(続)

第1章 スキマ(続きから)

((千晃side«回想»))





父は単身赴任で遠く離れた所に済んでいる


そのため母は昔から一日中働いていた


毎日寂しかったけど,いつも母は毎週日曜日だけは私のために予定をすべてあけていてくれたから,その日のために毎日私も頑張っていた


水族館に行ったり,ピクニックに行ったり,お家で一緒にケーキを作ったり…


寂しさからひどいわがままを言ってしまうこともあったけど,それでも母は許してくれていた




小学校2年生になったある日,教室の花びんが割れていたことがある


割ってしまったのは私がいつも遊んでいた心ちゃんだった


クラスのみんなの前で「誰がやったんですか」と先生が怒りながら言っているとき


心ちゃんはとても焦ったような困った顔をしていた


だから私は,「自分がやった」と申し出た


私は昼休みに先生とうさぎのお世話当番で餌やりをしていたため,割っていないのは誰もが知っている


その日の夜,お母さんはいつもより早く帰ってきて,ゆっくり話を聞いてくれた


全部話すと,お母さんはにこにこしながら話しはじめた


母「千晃はとっても優しい子だね。友達想いでいい子だね。でもね,千晃。花びんを割るのはよくないことだよね。千晃がもし花びんを割っちゃったら,どうする?」


千「まず先生にごめんなさいして,お片付けのお手伝いする!」


母「正解!でも,今日花びんを割っちゃった心ちゃんは,正解ができなかったよね?」


千「うん…」


母「お友達を助けることはとっても大事!でもね,たとえその友達が親友でも,悪いことは''悪い''って素直に言える子にならないと!それが本当の優しさだよ?」


千「うん…」


母「誰がほかの人が傷つかないための道を選ぶのは間違ってる。自分自身が選んだ道を進まなきゃね?」


千「うん、わかった!!」

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