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愛してるのに,愛せない(続)

第3章 アシタノヒカリ

((日高side))






小学1年生のとき,いとこに誘われてサッカーを始めた




入ったサッカーチームは全国大会でも上位入賞する強豪だった





そのとき1年生は俺だけで,先輩や監督,コーチにもとてもかわいがられた





毎日先輩の背中を必死に追いかける日々だった






ランニングやトレーニングを1日も休むことなく続けてきた






周りのみんなもその様子を見てくれていて,自分の努力を認めてくれていた






しかし,チームのエースと呼ばれるようになり,県の代表選手に選ばれるようにもなった頃には






サッカーが上手くて''当たり前''と言われるようになった






それが悔しくて毎日練習をしても,''練習して当たり前''や''代表選手なんだからできて当然''と言われる






誰も自分の努力を見てくれなくなった







高校に入ってからもそうだった








入部直後の初試合,俺のことをよく知っていたクラブチームの頃からの先輩が俺を試合に出すように顧問に言い,試合にでることになった







その試合は地区優勝,俺は合計で6得点をあげた







その頃はまだよかった







先輩が引退してから,次第に俺は叩かれるようになった







''日高にゴール持っていかれたせいで俺戦力外だわ''







そんな声が聞こえてくることもよくあった








自分の努力をわかってくれているのはきっと








この世でたった6人だけだ








気がつけば涙を流していた







千「だっちゃんが1人で頑張ってるの,全部知ってるよ。」






心がじわじわと温かくなった

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