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愛してるのに,愛せない(続)

第3章 アシタノヒカリ

((千晃side))




昨日からだっちゃんの様子が変だ



シュートが1本も決まらず,パスも回らなくなっている




宇「千晃,だっちゃんのこと見に行ってもらってもいいかな?私は記録で外せなくて。」

千「うん,そうするね」

宇「ありがとう」




部室に入ると,だっちゃんは頭を抱えながら床に座り込んでいた




千「だっちゃん……」



声をかけると,だっちゃんは苦笑いをしながら話し始めた



日「俺,試合前になにしてんだろうね(笑) パスも回せなくなるって,もう小学生以下だよね(笑) こんなんで部長なんで呼ばれてもね(笑)」



言葉を返せなかった



日「千晃,ちょっとだけ甘えさせて」





そう言うとだっちゃんは私をきつく抱きしめた




だっちゃんの肩は震えていた




日「俺,もう無理だ」


千「…」


日「俺は…エースなんかじゃない」


千「だっちゃんは…エースだよ」


日「シュートも打てないエース,どこにいるって…」


千「大事な試合だもん、試合慣れしてるだっちゃんだって緊張するよね。」


日「……」


千「思い通りのプレーできなくてイライラしちゃうのは,それだけ自分の実力が高いっていう証拠じゃない…?普段ものすごくできるスポーツ選手って,うまく決まらなかったりするとすっごく下手に見えちゃう。それと同じだよ。」


日「…っ…」


千「大丈夫。私は,だっちゃんが1人で頑張ってきたの全部知ってるよ。だから自信持っていいんだよ。」




体を離そうとしたけれど,だっちゃんがそれを拒んだ




きっと泣いている





日「ごめっ……むり………」





私を支えてくれたように,私も助けになりたいと思った

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