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第5章 X'mas oxo
「えっと、これは…なんです?」
「クリスマスツリー!!」
テーブルの前には高さ1メートルほどのもみの木と赤色の箱
「え、いや、木…本物?」
近づいて葉をさわりながら土を見る
「そう、本物!!」
「…どうして?」
「赤葦全然クリスマス言わないから…」
そういってしょぼんとする
「あ、いや、今さらクリスマスというのも、と思って
…夕食だけチキンを食べようと…」
「赤葦、だから鶏肉って!鶏肉って!」
突然喜び始めた木兎さんが俺の手をとって跳ねる
「ふふっ…この木、このままにするんですか?」
「しない!飾る!」
俺が木兎さんの手を握り返しながら引き寄せると食いぎみにそう返した
木兎さんが嬉々としてもみの木に星やら丸いやつやらを飾り付けている間に、焼き上がってしばらく経っていたとおぼしきチキンをはじめとする夕食をテーブルに並べてキャンドルに火をつける
ワインでも開けようかとつまみを作っていると木兎さんが俺を呼んだ
「どうしたんです?」
「できた!」
そういった木兎さんの横にあるもみの木は先ほどとうって変わったきらびやかなものであった
「すごいですね」
木兎さんがだろー?と無邪気な笑顔で答える
「ごはん、できましたよ」
「なんか、クリスマスっぽい机!ろうそくとか鶏とか!」
「よかったです」
嬉しそうな顔のままの木兎さんにほっとする
