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第5章 X'mas oxo





はっとなって目を開けるとそこは見慣れた天井

どうして空でないんだろうと思っていると視界に木兎さんが現れた

「赤葦よかった!!!」

そういって木兎さんに抱き締められて宙に浮く

木兎さんは俺を抱き締めたままよかった、よかった、と言い、その大きな手で俺の頭や背中を強く優しく、撫でる

「…どうしてここにいるんですか?」

俺は死んだのでは?とわけがわからずにやっとのおもいで言葉を紡ぐ

「なにいってるの赤葦!!!」

木兎さんはそういって自分の体を俺から離す

「どういうことです?」

「俺、さっき帰ってきたんだけど、ただいまって言っても赤葦出迎えてくれなくて、そのまま家に入ってきたら赤葦の声が聞こえて、一人でしてるのかなって思ったけどなんかちがくて、ソファーに近づいたら赤葦寝たまま過呼吸になってて、泣いてて、びっくりして揺らして起こしたの」

木兎さんのいつもながらに分かりにくい説明を聞いてさっきまで自分が見ていた光景が夢だと気づく

「…ちょっと、夢を見てたみたいです

大丈夫です心配しないでください

所詮夢ですから」

ふと頬に感じた涙を拭いながら少し目をそらしてそう言うと、木兎さんはそらした目を追いかけて、その正面から俺をじっと見つめる

「赤葦、しんどい?」

この人は普段なにも考えていないようなのに変に鋭いところがある

「…そうですね。少し」

俺がそう言うと木兎さんは目を見開いた

「…俺、帰んなかったから?」

そして眉を下げながらまぶたを少し閉じる

「そうかもしれませんね…」

少し嘲笑ぎみな俺の言葉を聞いた木兎さんが肩を揺らす

「でもね、でも、俺、赤葦のサンタクロースになろうと思って!」

そして焦ったように俺の両肩をもって訴えかける

「そんな、気を使わなくていいですよ」

「違う!これ、みて!」

そういって力ずくで体を起こされ、キッチンヘ連れていかれる


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