Baby love
第14章 翔くんのお見合い。
いくら飲んでも、酔える気がしない。
空になったグラスをぼんやり見つめて、大きな溜息を吐いた。
こんな事なら後輩でも誰でも誘って飲みに行けば良かった。
1人で家に居るから、考えてしまうんだ。
潤の事を。
さっき届いたメール。
“ 伝えたい事がある。
ちゃんと会って話がしたい。”
正直、ビビった。
潤が俺の部屋を飛び出した日から、最悪の結末しか思い浮かばない。
プロポーズなんてして強引に潤を手に入れた。
あんな公開プロポーズ、優しい潤なら断れないよな。
ホントは、ちょっと後悔してた?
一緒に暮らそうなんて、引いた?
両親に紹介するなんて、イヤか?
S「言わなきゃ良かった・・・」
一緒に暮らそうなんて言わなければ、まだ潤は俺の側に居てくれたんだろうか。
ただ恋人っぽい関係に、お前は満足してたのか?
悪いけど、俺はそれじゃ満足できねぇよ。
お前の心も体も、未来も。
全部が欲しい。
なんて言ったら、また引かれるよな。
気持ちの大きさが、違いすぎるんだ・・・
S「俺、見合いしちまうぞ・・・」
テーブルに突っ伏しながら、涙目でスマホに呟く俺は最高に情けなくて気持ちワルイ男だ。
もう笑うしかない。
S「はぁ・・・」
やっぱ笑えない。
S「潤・・・」
呟いた瞬間、スマホが鳴ってイスから落ちそうになる。
S「ビビらせんなよもう!!」
俺いま史上最悪に機嫌悪いんだぞ!!
乱暴にスマホを手にして、一瞬固まった。
ディスプレイには、松本潤と表示されている。
俺の恋人。
・・・まだ恋人だよな?
会って話がしたいってさっきメールに書いてあったし・・・
この電話で振られる可能性は低い。
大丈夫だ。
ああもう情けない思考の自分がイヤになる!!
色々考えたってしょうがねぇ!!
S「はい、」
緊張の色を隠せず、硬い声で電話に出た。
M「あ・・・ゴメン、忙しかった?」
電話に出るのが遅かったせいか、俺の声が低かったからか・・・
潤が申し訳なさそうに俺を伺う。