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Baby love

第14章 翔くんのお見合い。




S「いや、もう家だから。
ごめんな。メール返せてなかった。」



M「ううん、急かすみたいな電話、ゴメンね。」



お前は今どこにいるんだ?
誰かといるのか?



聞きたいけど、聞ける訳がない。
重い男だと思われてはいけない・・・!!



M「明日だよね。」



S「・・・ああ。」



そうだよ、明日だよ。
明日、俺は見合いをするんだ。



M「その後、ちょっとだけでも会えないかな・・・」



・・・やっぱ、止めねーんだ。



S「終わる時間が読めねぇけど・・・」



仕事が忙しくて丸々1日休みを取れなかったので、明日は両家でディナーの予定だ。
なるべく早く解散したいが、何時になるか分からない。



M「・・・待ってるから。」



今までの俺なら大喜びするセリフだけど。
今回は待たれるのが怖い。
話をするのが怖い。



S「・・・分かった。終わったら連絡する。」



これ以上潤の声を聞いているのがツライ。
早く切らないと・・・
会いたいと言ってしまいそうになる口を、手で覆う。



M「じゃあ・・・また明日。」



でも切られると思うと寂しい。



S「えっと・・・」



M「なに?」



S「・・・・・」



頭の回転は早い方だと自負しているが、肝心な時に無能だ。
適当な言葉がなにも見つからない。



M「・・・明日も早いだろ?
早く休んで・・・ね?」



潤が隣に居てくれたら、すぐにでも幸せな眠りに就けるのに。



M「翔くん?」



S「いや・・・おやすみ。」



好きだよ、と言葉を続ける事は出来なかった。



M「・・・おやすみ。」



潤、お前は今何を考えてるんだろう。
気持ちの大きさが違くても構わない。
一緒に暮らさなくても良い。



S「まだ俺の隣にいてくれよ・・・」



情けなく呟いた言葉は、1人きりのリビングに静かに響いて・・・



ふと目に入った時計はちょうど24時。



憂鬱な1日がすでに始まったんだと思うと、大きな溜息が出た。












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