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Baby love

第28章 幸せの味。




M side



M「えっ・・・」



「全く。やっとまともな恋愛をしてくれてホッとしてるよ。」



S「・・・うるせーっての!」



カツンっとグラスがぶつかる音が響く中、涙を堪えるのに必死だ。



M「・・・ありがとうございます。」



どうしよう、こんなに幸せで良いのかな。
まともな恋愛だなんて・・・
そんな風に認めてもらえるなんて夢にも思わなかった。
思っちゃいけないと思ってた。



翔くんを好きだと認められなかった頃の俺に今の状況を伝えても、絶対信じてもらえないだろうな。



今の俺だってまだ信じられないもん。
こんな作り話のようなハッピーエンド。



熱い熱いと言いながら鍋を頬張る翔くんが、なんだかたまらなく愛おしい。
俺の、好きな人。



M「翔くん、」



S「ん?」



M「・・・何でもない。」



S「・・・なんだよ、可愛い顔して。」



M「何でもないって。」



S「・・・あとでいっぱいキスしような?」



小声で、耳元で囁かれて一気に顔が熱くなる。
純粋に翔くんと一緒に居たいだけ、と思うのに、そういう気分になっちゃうじゃん・・・



小さく頷くと翔くんが嬉しそうに微笑むから、胸が苦しいくらいにキュンと鳴った。



せっかくお母さんが作ってくれた料理なのに、胸がいっぱいであんまり食べられそうにないよ・・・
なんで翔くんはバクバク食べれるんだろ。



でも、今日の鍋は一生忘れない味になるだろうな。
こんなに幸せな食卓、他に絶対ない。



そうだ、ケンカしちゃった日はこの鍋を作って仲直りしようかな。
お母さんにレシピ教えてもらおう。



M「ふふっ、」



こうやって翔くんとの定番メニューが増えていくのかな思うと、顔がニヤけてしまう。



この幸せな鍋の味をしっかり覚えたい。
胸がいっぱいで苦しいけど、翔くんの真似をしてバクバクと口に放り込んだ。





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