
スケートリンクと溺愛コーチ
第8章 アイススケートフェスティバル当日!その2
ドキドキしながら、リンクへと滑り出していく。
衣装はシンプルなノースリーブのワンピース型。
首元と袖は、フレアなデザインになっている。
色は、薄いオレンジ。
上から下にかけて、段々とオレンジの色が濃くなっていって、スカートの部分には大きな花がデザインされている。
悩みに悩んで決めた曲が流れる。
ここからは、私が主役だ!
何回も、何回も練習したふりをこなしていく。
私は、杏莉様のように才能があるわけじゃない。
環境も、恵まれているとは言えない。
それでも、憧れの杏莉様と同じ舞台に立てている。
こんなにも近くに、杏莉様がいる。
ああ、楽しいな。
こんなにスケートって楽しかったっけ。
「わっ!!」
ジャンプ着地時にバランスを崩し、手をついてしまう。
でも、こんなことでヘコんでいられない!
あの日私にスケートに出会わせてくれて、ありがとうございます、あなたがいたから頑張れています、杏莉様。
精一杯、杏莉様への感謝の気持ちをこめて、最後のふりを踊る。
そして、曲が終わった。
今までで一番、気持ちよかった!楽しかった!
リンクから出ると、豊崎コーチがほめてくれた。
今日の感謝を、今すぐ伝えたい。
その思いで、今どこにいるかもわからない杏莉様を探しに走った。
