
スケートリンクと溺愛コーチ
第2章 はじまり
ひととうり自己紹介も終わり、そろそろ練習がはじまる時間なのに杏莉様が見当たらない。 なんでだろう?
「杏莉なら、もうすぐ来ると思うわよ」
ソワソワしている私をみかねたのか、綾子さんがこう言った。
すると
「ごめんなさ~い、遅れましたあ・・・」
「杏莉、遅刻よ」
「紀子ちゃんごめーん、ラファのせいでーす・・・」
「ん?何を言っているんだい?」
ま、まさか、すきとうるように白い肌、人形かと思うほどに美しく整った顔、ウェーブのかかったブロンドの長い髪
・・・!
「杏莉・・・様・・?」
「ん、なぁに・・・?」
「わ、我が人生に、一生の悔い・・なし・・・」
「だ、大丈夫・・・・?」
あまりのうれしさに、フラっときてしまい、綾子さんに心配された。
「その子だぁれ?」
「今日から入った新田柚よ。」
「へえ・・・ 柚ちゃん、黒瀬杏莉です。よろしくね~」
「は、はいっ!あの、私、杏莉様の大ファンでっ!」
「本当~?ありがとう^^」
本物、本物の杏莉様が今、目の前に!
しかも杏莉様のコーチもいる・・・!
杏莉様のコーチ、ラファエリア・アダムズコーチは、28歳で超絶イケメン。彼自身も元スケート選手で、かつて“皇帝”とよばれたほどの実力の持ち主。
ロシア出身で、杏莉様と出会い、コーチを始めたのは10年前。
当時、ロシアのとあるスケートリンク(杏莉様は日本とロシアのハーフ)で2人は出会い、5歳とは思えない才能にあふれた杏莉様を見てコーチになることを決めたらしい。
ちなみに2人は相思相愛のカップルらしい。
これぞまさに、運命の出会い・・・!
「もう良いでしょう?始めるわよ。それと、杏莉は遅刻した分メニュー追加ね。内容はアダムスにまかせるわ。」
「杏莉~、何がいい?」
「じゃあナs「ん~筋トレ?いいよ~。」絶対ヤダ!」
