
スケートリンクと溺愛コーチ
第2章 はじまり
そして始めてのSクラスでの練習が終わり、私たちはロビーでお話していた。
「杏莉ー、行くよー。」
杏莉様をラファエリアコーチが呼ぶ。
「んー、じゃあ皆、またね^^」
パタパタと走っていく杏莉様の後姿をみながら、ふと思ったことを口に出す。
「あの、ラファエリアコーチって杏莉様のこと、送り迎えしてるんですか?」
「いいえ、あの2人はね、一緒に住んでいるの。」
綾子さんが私の疑問に答えてくれる。
「そ、そうだったんですか・・・!?」
「ええ。だから、来るときも、帰るときも、いつも一緒よ。」
「へえ・・・そうだったんですね・・・。ありがとうございます。」
・・・やぱり相思相愛のカップル、といううわさは本当だったんだ・・・。
「いえいえ。他にも気になっていることがあったら聞いてね。」
「5人とも、そろそろ帰りなさい。」
「じゃあそろそろ、帰えろっか~」
「咲希、おなかすいちゃったー!ねぇ麻友、麻友ん家のカフェ、よってこー」
「・・・うん。」
「それじゃまた明日。さようなら。」
こうして私たちは各自、家に向かって歩き出した。
あんなことがおきるなんて、このころの私は、まだ知らない。
