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愛すべき存在

第1章 愛すべき存在

 私、星宮沙希(ホシミヤ サキ)は、チャットで知り合った大阪の彼、平井和樹(ヒライ カズキ)に振られた。わずか二ヶ月後の出来事だった。

 理由を聞いた私に返ってきた答えは、ただ一言。

“いつの間にか好きじゃなくなってた”

 たったそれだけ。信じていた。だってたくさんの言葉をくれた。

“ずっと一緒”“嫌う理由なんてない”

 土曜日は毎週会っていたのに和樹の変化に気付けなかった。

 思い出すと、触れられた場所が熱くなった。どうしようもない苦しさに泣き叫んだ。

 気付いたら東京にいる元彼の日向春斗(ヒムカイ ハルト)にメールを打っていた。

【今すぐ電話して】

 春斗は直ぐに電話をくれた。

「大丈夫か?」

「大丈夫……なわけないでしょうがぁぁ」

 頭の中に気持ちが渦巻いて、訳がわからない。

「ゴメン」

「何で春斗が謝るの?」

「何でだろうな~。……なぁ、もっかい付き合うか?」

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