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FRIENDs -ars短編集-

第2章 1つの嫉妬 S×M

Sサイド


周りに他のメンバーもいるけど、
それも気にせず呟いた。

腕に力を込める。


「ごめ、潤っ…好きだよ…
嫌いになったりしない…ずっと一緒だから…」


俺の肩が濡れてゆく。

でも、このあと収録で、わかってるけど
俺まで目尻に涙が溜まる。


「潤、泣いちゃダメっ…赤くなっちゃう…」


潤から身体を少し離して、
流れて出る潤の涙を手で拭う。


改めて潤の顔を見ると、
儚くて、可憐で、なにしろ綺麗で。

思わずキスしそうになった。


でも、メンバーがいることを思い出し、
なんとか踏みとどまった。


「あのー、楽屋なんですけど…」


そうニノに突っ込まれて
互いに身体を離す。

ふと横の相葉くんを見ると
ずっとニヤニヤしていて、
さっきまでいたはずの智くんは
いつの間にか、どこかにいなくなっていた。


あ、服。

思い出したのは相葉くんにあげる服。
着るのはニノだけど。

ニノの隣にいる相葉くんを、ニノから
少しだけ借りて楽屋の外に出る。

その間、潤にはニノの相手をしてもらった。


「あのさ、いろいろありがとね。」
「俺はなーんもしてないよ(笑)」


こんな時でも相葉くんは優しい。

純粋でまっすぐで。
ニノのことになったら急に真剣になる。


「そのお礼なんだけど、これ。
潤には小さすぎたんだよね…
ニノなら着れると思うから。」


そう手渡したメイド服。

途端に相葉くんは120%の笑顔を見せて
俺の両手を握る。
その手を上下に激しく振る。


「やばい嬉しすぎ!絶対可愛いじゃん!
和のメイド!!」


相葉くんはありがと!って言って
さっさと中に入って行った。


俺も中に入って、ニノと話していた
潤を俺のところに戻す。


「潤、ごめんね。」
「ううん、わがまま言ったら迷惑かなって…」


そう言って目線を横に外す。

わがままなんて、潤のわがままなら
なんでも聞くつもりだ。

そこまで考えてたなんて思わなかった。


「これからはわがまま言ってもいいよ。
思ったこと言っても、嫌いにならないから。

俺、潤が大好きだもん。…ね?」

「うん。…でも」



潤がそこで言葉につまる。


「言って…?」


すると、潤はそっぽを向く。
そして顔を真っ赤にして言った。


「ビ、ビヤクはもう使わないでね…」


*fin*

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