FRIENDs -ars短編集-
第4章 ここにおいで A×M
Aサイド
仕事終わり、いつも通りに
エプロンを外し荷物を取り出す。
先に帰っていく先輩方に挨拶をしながら
俺も後を追って外へ出る。
俺の仕事はパティシエ。
主に洋菓子専門。
シュークリームとかマカロンとか。
よく男のくせにって言われるけど
そういうのは気にしないようにしてる。
実際、男のパティシエって意外と多いし
俺もその中に入れてるならすごく嬉しい。
知り合いのお兄さんがやってる
街角の小さな店だけど。
今日も先輩の大野さんといつもの道を歩いた。
でも今日は明日の仕込みで少し遅くなって、
いつもより暗い道で街灯の灯りが目立つ。
ちょうど、大野さんと分かれたあと。
暗い路地裏に蹲る人影。
ただの酔っ払いかなって通りかけた時、
チラッと見えた紅い色。
止まろうとした訳でもないのに
何故か、ふと足が止まってしまった。
「あ、あの…大丈夫ですか…?」
俺はしゃがみ込んでその人の顔を覗き込む。
スッと目を惹かれた。
綺麗な顔立ちで、ぷるんとした唇の端には
……血?
少し驚いて向かいの壁に背中をぶつけた。
でも、その人はじっとしていて
蒼白い顔で足元を見つめている。
「あ、あの…その血、どうし」
俺が聞きかけた時、
今まで動かなかったその人に
胸ぐらを掴まれドンッと壁に押し付けられた。
乱れた髪の向こうに見えた瞳に
少しドキッとしたのは気のせいなのかな。
「…っ腹減った。」
その瞬間首筋に走った痛み。
ジュルッと嫌な音がして、目の前が霞む。
何、これ…俺今何されて…
だんだんと遠のいていた意識が、
ついにぷつんと切れた。
「ぁ……やばっ…」
そんな声が聞こえた。
仕事終わり、いつも通りに
エプロンを外し荷物を取り出す。
先に帰っていく先輩方に挨拶をしながら
俺も後を追って外へ出る。
俺の仕事はパティシエ。
主に洋菓子専門。
シュークリームとかマカロンとか。
よく男のくせにって言われるけど
そういうのは気にしないようにしてる。
実際、男のパティシエって意外と多いし
俺もその中に入れてるならすごく嬉しい。
知り合いのお兄さんがやってる
街角の小さな店だけど。
今日も先輩の大野さんといつもの道を歩いた。
でも今日は明日の仕込みで少し遅くなって、
いつもより暗い道で街灯の灯りが目立つ。
ちょうど、大野さんと分かれたあと。
暗い路地裏に蹲る人影。
ただの酔っ払いかなって通りかけた時、
チラッと見えた紅い色。
止まろうとした訳でもないのに
何故か、ふと足が止まってしまった。
「あ、あの…大丈夫ですか…?」
俺はしゃがみ込んでその人の顔を覗き込む。
スッと目を惹かれた。
綺麗な顔立ちで、ぷるんとした唇の端には
……血?
少し驚いて向かいの壁に背中をぶつけた。
でも、その人はじっとしていて
蒼白い顔で足元を見つめている。
「あ、あの…その血、どうし」
俺が聞きかけた時、
今まで動かなかったその人に
胸ぐらを掴まれドンッと壁に押し付けられた。
乱れた髪の向こうに見えた瞳に
少しドキッとしたのは気のせいなのかな。
「…っ腹減った。」
その瞬間首筋に走った痛み。
ジュルッと嫌な音がして、目の前が霞む。
何、これ…俺今何されて…
だんだんと遠のいていた意識が、
ついにぷつんと切れた。
「ぁ……やばっ…」
そんな声が聞こえた。