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FRIENDs -ars短編集-

第6章 王子様とペット。 A×NM

Nサイド


俺たちは今、相葉さんの家にいる。

俺たちのたち、というのは潤くんのこと。


過ごしなれたこの部屋に2人で
テレビをつけソファに座る。


「潤くん、始まるよ。」


俺がそう言ってつけたのは“貴族探偵”

相葉さんのドラマ。


「相葉くんだ…」
「相葉さんだねぇ…」


思わずそう呟き、御前様のそのかっこよさに
引き込まれるようにテレビに釘付けになる。


かっこいいなぁ…相葉さん。


潤くんも同じことを考えているのか
その横顔は少し赤らみ口角が上がっていた。


「…」
「…」


2人とも一言も喋らず
たぶんこの国で一番静かにテレビを見ている。




物語も終盤にさしかかり、
相葉さんが武井咲ちゃんに近づく。


これはもしや…


嫌な予感は的中し、テレビ画面の2つの顔が
だんだんと近づいていく。


はっ、と息が止まるのを感じる。

時間が止まってしまったかのように静かだ。



もうキスをする。


そう思った瞬間にエンディングが流れ、
2人してほっと息を吐く。


「キス、するのかと思った。」


潤くんは首を縦に振る。


「ね、思ったよね?」
「うん、思った。」


潤くんはもう一度首を縦に振った。


「はぁ、今日で最終回かぁ…」


そう、今日は最終回。
相葉さんの貴族を見れるのも今日が最後。


「いやだなぁ~…」
「でも…」


潤くんがそこまで言った時、一階からの
インターホンが鳴り2人でモニターを覗く。

相葉さんはカメラを覗き込むようにして
両方の手を振っていた。


俺は下の鍵を開けてまたソファに座る。


「でも、本物の御前様の方がかっこいいね。」


さっき言いかけたことの続きを、
潤くんはお茶を飲みながら
俺に言ってにこっと笑った。

そうだねなんて相槌を打っていると
今度は玄関のインターホンが鳴った。


あっ、と2人で目を合わせて玄関に向かう。


玄関の鍵は開いていたらしく
相葉さんがドアを開けて入ってくる。


「…相葉さんだ。」
「相葉くんだねぇ。」


廊下を歩きながらそう言って
くすくすと笑い合う。


「ただいま!俺のにゃんこちゃん♡」


「おかえり!相葉さん!」
「おかえり!相葉くん!」


そう言った俺らを、
相葉さんはくしゃくしゃっと撫でた。

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