虹
第8章 CALL
" 光…くん…なんで……… "
「なんで…って、会いたかったから」
" でも…LIVE… "
「来てくれてありがとう」
こうなるなら、まだメイク落とさなきゃよかった
こんなすっぴんで、ジャージ姿で
ライブの参戦服のほうがよっぽどましだ
「なーんで泣くの(笑)」
" だって…光くんが… "
「…俺、ずっと鈴が好きだった」
" なんで言ってくれなかったの…??"
「それまでの関係でいられなくなったら嫌だったから」
" わ…私だって…同じ気持ちだったのに…"
「え…?」
" 私も…光くんが好きだったの!!…こんなに遠くなっちゃったけど…今でも好きなの! "
やっと言えた
「じゃあさ…これ…」
そう言って差し出されたのは1枚の紙と、キーホルダーがついた鍵
「これ、俺の家の住所と合鍵」
" え…これって… "
「俺と付き合ってください」
目の前に大好きな人がいて
大好きな笑顔があって
よく見たいのに、涙で視界が揺らぐ
" …っ…はいっ…!!!! "
それからしばらくして、私は東京へと旅立った
名札、ボタン、そして合鍵と共に…