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第9章 ココア

浦田直也×松永 圭(マツナガ ケイ)









" やっと買えた… "





今日は1人でショッピングを満喫する…はずだった



寒いからココアでも買おうとスタバに入ったものの



私と同じようなことを考えた人の行列ができていた



並ぶのが嫌いな私は別のスタバに行こうとしたものの



そちらでも大行列



ショッピングモールに行くから、その中にあるスタバにしようと電車で移動しても



モールの中も大混雑



とても買い物を楽しめるような雰囲気ではない





結局、また最初の場所へ戻ってきてしまった





あったかいココアを少しのぞき込むと、甘くて優しい、いい香りがする




" よし、別なお店に行こう "




気を取り直して買い物に行こうと大きく足を踏み出したそのとき




ドンッ




誰かにぶつかってしまった





" すっ…すみません…!!! "





慌てて立ち上がり、顔をあげると見えたのは






ぶつかってしまった人の周りに仁王立ちしているなんともいかつい、ヤクザっぽい人たち





A 『おいおいお嬢ちゃん』

B 『どこ見て歩いてんだ??あ??』




ぶつかってしまった人のスーツには、私のココアが思いっきりかかっている




C 『てめぇ…調子乗ってんじゃねぇぞこら』


" す…すみません!!!本当にすみません!!"


B 『若のスーツが汚れちまってんだ。すみませんで済むわけねぇだろうが』


" …弁償してお返します!!!本当にすみません… "


A『てめぇにそんな金あんのかよ』


B『ちょっと事務所までこいや』







怖い…怖すぎる…


今日は最強についてない…



覚悟を決めたその時、若と呼ばれていた人が口を開いた




「そのくらいにしとけ」


A 『若…しかしスーツが…』


「こちらの不注意でぶつかってしまった。お嬢さんのココアもこぼしてしまった。申し訳ない」







とても背が高いその人は、少ししゃがむと私に優しく微笑みかけてくれた

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