虹
第9章 ココア
痛い
苦しい
怖い
恐怖で体が震える
「おい…てめぇら…」
突然、ドスの聞いた声が響いた
ドンッ
直也さんが思い切り殴りかかった
" な…おやさん…やめっ… "
「そんなことして楽しいのかよ」
そこには、さっきとはうってかわった
極道の世界で生きる、直也さんの姿があった
「人を傷つけることでしか欲を満たせないようじゃあ、生きてる意味もねえよなぁ?」
気づけば直也さんの後ろには、朝、直也さんと一緒にいた人たちが集まっていた
「お前ら、連れてけ。」
直也さんの周りの人たちが、3人を連れて行った
「けいちゃん、声聞こえる??」
" ん… "
さっきからズキズキと痛む
意識ももうろうとしてきた
かなり深く刺さったようで、血が全然止まらない
直也さんは私のハンカチを傷口にきつく巻き付け、押さえつけた
しばらくすると、血は止まったようだった
「病院行くよ」
" 大丈夫だよ…?? "
「傷口はまだ開いてるんだ。このままにしておいたら危ない」
そう言って病院まで連れて行ってくれた
「ごめん…守るって…支えるって言ったのに」
" なんで直也さんが謝るの…??"
「俺があの場で離れなければこんなことには…」
" 気にしないで…?大丈夫だから "
嘘。大丈夫なんかじゃない。
「ねえ、けいちゃん」
"ん…? "
「本当に、いろいろおかしいけどさ。けいちゃんが…好きになったみたい」
" … "
「こんな事言うの本当におかしいよな…(笑)
でも、けいちゃんを守っていきたいって、そう思った。」
"…"
「俺と、付き合ってくれませんか」
おかしくなんかない
だって…私も…
好きになったから
1年後
私の隣には
大好きな直也さんと
愛しい、小さな命があった